東大文学部の読書感想文

東大文学部。好きな本や最近読んだ本の感想を書きます。ニュースや本屋で目にした、本にまつわる気になる事も。

2018-12-01から1ヶ月間の記事一覧

集中力の話~読書のBGMとか~

「集中する」 言葉にするとカンタンだが、実行するのは難しい。 単純作業を繰り返すときや、勉強するとき、読書するとき、そして今僕がしているように文章をかくとき… 一人で何かしなければならないとき、その時々の集中力の多寡で作業効率は大きく変わる。 …

浅田次郎『蒼穹の昴』の感想文

浅田次郎『蒼穹の昴』 「浅田次郎、読んだことないの?絶対面白いから、『蒼穹の昴』読んでみてよ」 と言われた僕は、 「じゃあ、読んでみますね」 と軽く答えてしまった。 書店で分厚い文庫4巻にも及ぶ大作と知って尻込みしたものの、 後には引けないので…

夏目漱石『三四郎』の感想文

夏目漱石『三四郎』 夏目漱石と初めて出会ったのは中学1年生の頃だ。 最初は、『坊ちゃん』を読んだ。 大衆的で、エンタメとして優れたこの作品はかなり面白かった。 そして、『吾輩は猫である』や『こゝろ』と代表作を読んでみた。 どの作品も素晴らしく、…

シリーズモノとの付き合い方

昨日、紹介したばかりだが、 『十二国記』シリーズの新作が新潮社からアナウンスされた。 arce.hatenablog.com それから僕は、「シリーズモノ」について色々と考えてみた。 シリーズが続くことのメリットは大きい。 何より、作品の世界観を膨らませることが…

蓮見圭一『水曜の朝、午前三時』の感想文

蓮見圭一『水曜の朝、午前三時』 先日、2025年に大阪で万博を開催するというニュースを目にした。 1970年に開催された大阪万博では、「人類の進歩と調和」がテーマだったが、この55年で我々人類はどれほど進歩し、調和を遂げたのだろうか。 もちろん、政治的…

十二国記、待望の新作!!

先ほど、Twitterを見ていたら… 小野不由美さんのファンタジー小説シリーズ『十二国記』の新作が発表されていました。 以下は、新潮社の公式サイトの引用です。 今日、十二月十二日「十二国記の日」に、嬉しいお知らせがあります。 新作の第一稿が届きました…

星野源『そして生活はつづく』の感想文

星野源『そして生活はつづく』 今日は、星野源のエッセイ集を紹介しようと思う。 最初に忠告します。 某ドラマの役どころそのままのイメージで星野源を認知していたいという方には、この本あまりおすすめしません。 携帯の料金を払い忘れる話しとか ブラジャ…

鴨志田一『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』の感想文

鴨志田一『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』 2019年の秋は、アニメ好きの20代前半の人間にとっては待望のシーズンだと思う。 僕たちの世代は、深夜アニメの人気が爆発的に拡大する時期に学生時代を送った。 そのため、かなり幅広いタイプの人間…

辻仁成『サヨナライツカ』の感想文

辻仁成『サヨナライツカ』 最近、忙しくて感想文の更新が滞りがちですが、本自体はたくさん読んでいます。 本を読む時間があるなら、数千字の文章を書く時間程度確保できるだろと思われるかもしれない。 電車での移動や、大学の授業間の休み時間などの隙間を…

Wikipediaを引用するということ

最近人気のとある本を念頭においたお話なのは、皆さんもお分かりでしょう。ただ、僕自身は、この本を読んでいないし、買ってもいない。 未読の本の感想なんて書けない。 批評なんて以ての外だ。だから、この本のことを個別にどうこう言うつもりは全くない。 …

『人間失格』の映画化

スマホでネットニュースを眺めていたら、小栗旬さん主演で『人間失格』が映画化されるという記事を見つけた。どうやら、『人間失格』時代を映像化するというよりは、 小栗旬さんが演じる太宰治に焦点をあてて、『人間失格』の誕生秘話を描くらしい。 作品時…

読書家は「国語」が本当に得意なのか。

国語という科目は多くの学生を悩ませてきた。 単語帳を覚える 公式を使いこなせるようになる 例題演習を重ねる といった分かりやすい勉強法がない(と考えられている)ため、 成績がなかなか上がらず多くの中高生が国語に苦しめられてきただろう。 真面目に…

宮下奈都『羊と鋼の森』の感想文

宮下奈都『羊と鋼の森』 今日の感想文では、二年前の本屋大賞受賞作を紹介しようと思う。 宮下奈都の『羊と鋼の森』は、「師がいて、そこに弟子入りする男の子の話」だ。 高校生の外村が、高校の体育館に置かれたグランドピアノを調律する板鳥の姿を見かける…