東大文学部の読書感想文

東大文学部。好きな本や最近読んだ本の感想を書きます。ニュースや本屋で目にした、本にまつわる気になる事も。

星野源『そして生活はつづく』の感想文

星野源『そして生活はつづく』

 

 

今日は、星野源のエッセイ集を紹介しようと思う。

 

最初に忠告します。

某ドラマの役どころそのままのイメージで星野源を認知していたいという方には、この本あまりおすすめしません。

 

携帯の料金を払い忘れる話しとか

ブラジャーのパットの話とか

自分のお腹が痛い話とか

この本は、実に下らない馬鹿話が満載のエッセイ集だ。

だけど、下ネタを交えた下らないエピソードのなかに、たまーに良い話を混ぜてくる。

星野源という人は本当にズルいと思う。

 

 

その中でも、「部屋探しはつづく」というエッセイが好きだ。

 

引っ越し先を探しに不動産屋に行ったら職業を聞かれた際に、

様々な職業を同時進行でこなす自身の生き方を考えるという話だ。

「二足の草鞋を履く」というとき、何故か否定的なニュアンスが込められることが多い。

色んなことに中途半端に手を出すのは良くない。

一つの事に専心することが美徳。

たぶん、長い歴史の中で日本人が培ってきた思想体系に影響された考えだ。

もちろんこれと決めたことにひたすら邁進する生き方は素晴らしいが、

だからってアレコレ手を出す人が劣っているというわけではないだろう。

 

星野源は、ブルース・ブラザーズという映画を引き合いにだす。

 

音楽。踊り。馬鹿馬鹿しいアクション。毒のある笑い。エロ。人間の悲しさ。面白さ。いろんなジャンルのエンターテインメントがたくさん詰め込まれている。普通はどれか一つの要素を際立たせるために別の要素を控えめにしたりするのだが、この映画はそれをまったくしていない。常に様々な要素がぐちゃぐちゃと出てくる。どれも諦めていない。全部の要素がお互いにいい影響を与え合っている。

星野源『そして生活はつづく』,79~80頁)

 

 

演技も、音楽も、文章も、映像制作も、

あらゆるやりたいことに手を出す星野源の生き方。

彼は、やりたいことを何一つ諦めていない。

才能があるとか、ないとか、そういうことで控えめにしない。

全部やって、生きている。

 

このスタイル、凄くカッコイイ!!

 

気になること、興味があること、やりたいこと…

中途半端が良くないからと諦めずに、全部やってみる

そうすることで、そのごちゃまぜの生き方がどこかで噛み合って爆発的な成功を生むかもしれない。

 

僕もやりたいことを諦めないで生きていきたい。

 

 

そして生活はつづく (文春文庫)

そして生活はつづく (文春文庫)

 

 

 

→おすすめのエッセイを紹介した記事です。

 ぜひ、併せて読んでみてください。

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