梅田悟司『「言葉にできる」は武器になる。』の感想文
梅田悟司『「言葉にできる」は武器になる。』
突然ですが、問題です。
「バイトするなら、タウンワーク。」
これ何のキャッチコピーか分かりますか?
ごめんなさい。
馬鹿にしているわけじゃないんです。
これほど明快なコピーもあまりないですよね。
一応、答えは、求人情報を扱っている「タウンワーク」のキャッチコピー。
笑っちゃうくらい単純で、めちゃくちゃ直接的なこの言葉。
でも、凄く耳に残るし、
日本人の多くは「バイト」→「タウンワーク」という連想が脳みそにセットされてしまっている。
このキャッチコピーの生みの親こそ、電通のコピーライターである梅田悟司だ。
『「言葉にできる」は武器になる。』に書かれているのは、
「伝わる言葉の生み出し方」
ただ、この本はその手のよくあるハウツー本とは一味違う。
情報を簡潔に説明する手っ取り早い方法とか、
自信満々に見える話し方とか、
そういう上辺の部分を説明するだけの本ではないのだ。
「言葉が意見を伝える道具ならば、まず、意見を育てる必要があるのではないか?」
「言葉は思考の上澄みにすぎない」
というのが、梅田の思考の根底にあり、この本の全体を通じた前提事項になる。
自分が話した言葉や、書いた言葉。
そうした、「外に向かう言葉」は、
自分の心の中で考え、悩み、育んだ思考(=「内なる言葉」)のごく一部にすぎないのだという。
そして、言い切る。
「思考の深化なくして、言葉だけを成長させることはできない。」
僕は、冒頭の数ページだけで、論理的で、分かりやすい梅田悟司の言葉の捉え方に、何度頷いたことか。
「はじめに」だけで、一冊分の本の価値が十分にある。
そして、本編では具体的に、自身の思考を磨き、「内なる言葉」を育てる方法や、それをいかにアウトプットするのかが解説されていく。
いかに人に伝えるかで悩んでいる人にとって、読んでみる価値がある本だと思う。
自分の思考を言語化し、武器と呼べるほどに洗練していきたいものだ。
→今回紹介した『「言葉にできる」は武器になる。』
→『「言葉にできる」は武器になる。』の実践編