うえお久光『紫色のクオリア』の感想文
今日は、これまで読書感想文を書いてきた小説の中で、
おそらく最も知名度が低い本を紹介しようと思う。
そもそもライトノベルということで、読者はかぎられがち。
しかも、題材はけっこうガッツリとSF。
ファンタジーや学園ラブコメが主流のライトノベルにおいて、SFはけっこうアウトロー的なジャンルで、僕の友人のいわゆる「オタク」たちでさえ、『紫色のクオリア』を知っている人はあまりいない。
だが、本作品はライトノベルの枠を超えてかなり高い評価を受けている。
2010年度の「SFが読みたい!」では10位にランクインしているし、雑誌でも紹介されていた。
僕がこの本を知ったのも、たしかダ・ヴィンチを読んでいてときだった覚えがある。
ちなみに、Googleとかで、「ラノベ おすすめ」とかで検索すると出てきたりもするので、ラノベ好きな方は意外と知っていたりもするのかもしれない。
とは言っても、今回は、このブログを読んでくれている人の中にも、
既読者はほとんどいないだろう。
ネタバレ要素の強い内容に踏み込んだ感想はあえて省こうと思う。
本作の軸になるのは二人の少女。
一人目は、毬井ゆかり(まりい ゆかり)。
この子は、人間がロボットに見える。
プラモデル好き。
二人目は、波濤学(はとう まなぶ)。
この子は、先ほどのゆかりによって携帯電話を腕に埋め込まれ、
その電話によって平行世界の学と交信する。
書いている自分でも、何を言っているのか…と混乱してきた。
まあ、とりあえず、こういう設定。
ぶっ飛んでいるけど、SFなんてこんなものでしょう。
(いろんな人に怒られそうな暴論…)
とにかく、この二人を中心として物語が展開する。
ライトノベルと言いつつ作品はあまりライトではない。
連続殺人鬼は登場するし、哲学チックな命題もポンポン出てくる。
でも、哲学要素満載のハードなSFのくせに小難しくはない。
そこはラノベ要素をしっかり維持している。
この絶妙なバランスを作り出せている作者は本当にすごい!!
(「観測」とか、「認識」とか、ハルヒが好きな人はけっこう惹かれるワードかもしれない。)
と、こんな感じで『紫色のクオリア』を紹介してみましたが、
この作品は、
どんな人でも楽しめる作品だと胸を張って言える。
(ちなみに僕は2と3の中間)
今日の感想文は、感想というより、宣伝ぽくなってしまったけれど、
せっかくブログを読んでくれている人には、面白い本との新しい出会いのきっかけを提供したいので今回ばかりはお目こぼしいただきたい。
『紫色のクオリア』読んでみたよ!!
という方がいましたら、ぜひぜひ感想をお聞きしてみたいなと、そう思う僕です。
→漫画版。全3巻。