東大文学部の読書感想文

東大文学部。好きな本や最近読んだ本の感想を書きます。ニュースや本屋で目にした、本にまつわる気になる事も。

今さら聞けない??そもそも、ライトノベルって何なのか解説します!!(前編)

中高生を中心に若者に人気を誇るライトノベル。そもそもライトノベルって何なのか?という今さら聞けない疑問を徹底解説します。

斎藤環『承認をめぐる病』の感想文

斎藤環『承認をめぐるる病』 食べたい、飲みたい、勝ちたい、出世したい、眠りたい、笑いたい、友人と遊びたい、恋人が欲しい… 僕たちは色々な「したい」を抱えて生きている。 僕たちが有する様々な欲求のなかに、「自己承認欲求」というものがある。 自分と…

今年の目標

新しい年がきたということ、今年の目標、みたいなものを書き留めておこうと思う。 目標は、5つ ①たくさん本を読むこと 趣味である読書に義務感やノルマといったものを持ち込みたくないので、 何十冊、何百冊といった具体的に何冊読む!!みたいな目標は設定…

集中力の話~読書のBGMとか~

「集中する」 言葉にするとカンタンだが、実行するのは難しい。 単純作業を繰り返すときや、勉強するとき、読書するとき、そして今僕がしているように文章をかくとき… 一人で何かしなければならないとき、その時々の集中力の多寡で作業効率は大きく変わる。 …

浅田次郎『蒼穹の昴』の感想文

浅田次郎『蒼穹の昴』 「浅田次郎、読んだことないの?絶対面白いから、『蒼穹の昴』読んでみてよ」 と言われた僕は、 「じゃあ、読んでみますね」 と軽く答えてしまった。 書店で分厚い文庫4巻にも及ぶ大作と知って尻込みしたものの、 後には引けないので…

夏目漱石『三四郎』の感想文

夏目漱石『三四郎』 夏目漱石と初めて出会ったのは中学1年生の頃だ。 最初は、『坊ちゃん』を読んだ。 大衆的で、エンタメとして優れたこの作品はかなり面白かった。 そして、『吾輩は猫である』や『こゝろ』と代表作を読んでみた。 どの作品も素晴らしく、…

シリーズモノとの付き合い方

昨日、紹介したばかりだが、 『十二国記』シリーズの新作が新潮社からアナウンスされた。 arce.hatenablog.com それから僕は、「シリーズモノ」について色々と考えてみた。 シリーズが続くことのメリットは大きい。 何より、作品の世界観を膨らませることが…

蓮見圭一『水曜の朝、午前三時』の感想文

蓮見圭一『水曜の朝、午前三時』 先日、2025年に大阪で万博を開催するというニュースを目にした。 1970年に開催された大阪万博では、「人類の進歩と調和」がテーマだったが、この55年で我々人類はどれほど進歩し、調和を遂げたのだろうか。 もちろん、政治的…

十二国記、待望の新作!!

先ほど、Twitterを見ていたら… 小野不由美さんのファンタジー小説シリーズ『十二国記』の新作が発表されていました。 以下は、新潮社の公式サイトの引用です。 今日、十二月十二日「十二国記の日」に、嬉しいお知らせがあります。 新作の第一稿が届きました…

星野源『そして生活はつづく』の感想文

星野源『そして生活はつづく』 今日は、星野源のエッセイ集を紹介しようと思う。 最初に忠告します。 某ドラマの役どころそのままのイメージで星野源を認知していたいという方には、この本あまりおすすめしません。 携帯の料金を払い忘れる話しとか ブラジャ…

鴨志田一『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』の感想文

鴨志田一『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』 2019年の秋は、アニメ好きの20代前半の人間にとっては待望のシーズンだと思う。 僕たちの世代は、深夜アニメの人気が爆発的に拡大する時期に学生時代を送った。 そのため、かなり幅広いタイプの人間…

辻仁成『サヨナライツカ』の感想文

辻仁成『サヨナライツカ』 最近、忙しくて感想文の更新が滞りがちですが、本自体はたくさん読んでいます。 本を読む時間があるなら、数千字の文章を書く時間程度確保できるだろと思われるかもしれない。 電車での移動や、大学の授業間の休み時間などの隙間を…

Wikipediaを引用するということ

最近人気のとある本を念頭においたお話なのは、皆さんもお分かりでしょう。ただ、僕自身は、この本を読んでいないし、買ってもいない。 未読の本の感想なんて書けない。 批評なんて以ての外だ。だから、この本のことを個別にどうこう言うつもりは全くない。 …

『人間失格』の映画化

スマホでネットニュースを眺めていたら、小栗旬さん主演で『人間失格』が映画化されるという記事を見つけた。どうやら、『人間失格』時代を映像化するというよりは、 小栗旬さんが演じる太宰治に焦点をあてて、『人間失格』の誕生秘話を描くらしい。 作品時…

読書家は「国語」が本当に得意なのか。

国語という科目は多くの学生を悩ませてきた。 単語帳を覚える 公式を使いこなせるようになる 例題演習を重ねる といった分かりやすい勉強法がない(と考えられている)ため、 成績がなかなか上がらず多くの中高生が国語に苦しめられてきただろう。 真面目に…

宮下奈都『羊と鋼の森』の感想文

宮下奈都『羊と鋼の森』 今日の感想文では、二年前の本屋大賞受賞作を紹介しようと思う。 宮下奈都の『羊と鋼の森』は、「師がいて、そこに弟子入りする男の子の話」だ。 高校生の外村が、高校の体育館に置かれたグランドピアノを調律する板鳥の姿を見かける…

煙草の文学的副流煙の話

ちょっとだけ恰好つけて、気取ったタイトルをつけてみた。 この文章を書いているのは、午前三時過ぎ。 それに、数時間前までお酒を飲んでいて、やっと良いが冷めてきたというタイミングだ。 どうか深夜とアルコールに免じて許してやって欲しい。 小説や映画…

石原慎太郎『太陽の季節』の感想文

石原慎太郎『太陽の季節』 平成生まれの人間にとって、石原慎太郎とは都知事である。 石原は、1999年から2012年まで四期に渡り都知事を務めた。 そのため、僕の少年時代に登場する都知事は常に石原慎太郎だった。 物心ついたころからずっとそうだった。 たぶ…

あいみょん『ふたりの世界』の感想文

あいみょん『ふたりの世界』 シンガーソングライターのあいみょん。 兵庫県西宮市生まれの23歳。自分と同年代の若い方が素晴らしい活躍をしていることは純粋に凄いと感動する。友人に勧められて聴き始めたのだが、 最初は「あいみょん」というファンシーな名…

駒場祭に行ってきました!!

今日は、東京大学の学園祭である駒場祭に行ってきました。 駅を出るとそこはもう東大の駒場キャンパス。 いきなり看板が視界に飛び込んでくる。 物凄い混雑で、どの写真にも人がたくさん映り込んでしまったので、こんな写真ぐらいしか載せられない…。 看板に…

冲方丁『一二人の死にたい子どもたち』の感想文

冲方丁『一二人の死にたい子どもたち』 今日、紹介するのは実写映画化も決定し注目が集まる、この作品。 『一二人の怒れる男』と『一二人の優しい日本人』という作品がある。 前者は、アメリカの作品で、はじめはテレビドラマとして、その後映画として製作さ…

映画『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』の感想文

前々から見たくてたまらなかった『ファンタスティック・ビースト』シリーズの最新作が、本日11月23日に公開された。 公開初日の深夜25時頃、相変わらずの喧騒に包まれる新宿歌舞伎町のど真ん中に位置するTOHOの映画館で、早速見てきました。 今回は、いつも…

志賀晃『スマホを落としただけなのに』の感想文

志賀晃『スマホを落としただけなのに』 今日、紹介するのは、『スマホを落としただけなのに』という作品。 現在、北川景子さん主演の映画が公開中で、広告を繰り返し見るうちに気づいたら購入していた。 スマホを落としただけなのに (宝島社文庫 『このミス…

読まず嫌い?の作家

世界中の本を全て読むなんて不可能なのだから、当然、読んだことのない作品は無数にある。ただ、読める本には限りがある中で、ジャンルにこだわらずけっこう色んな小説を読むように心がけているにも関わらず、 「え、こんなに人気な作家さんの本を未読だなん…

減らない積読

最近、本当に困っていることがあります。 積読が減りません。 いや、むしろ増えるばかり…。 10月16日に、本屋さん巡りが好きで、 暇な時間は書店で時間を潰すというお話をしました。 arce.hatenablog.com その書店巡りの時の、本を買う基準がどんどん甘くな…

海堂尊『チーム・バチスタの栄光』の感想文

海堂尊『チーム・バチスタの栄光』 未知の世界というと宇宙だとか、深海だとか、はたまたジャングルの奥地だとか… そういうものが思い浮かぶ。 でも、僕たちにとっては「病院」というのもそれらに匹敵するくらい未知の世界だ。 風邪をひいたり、ケガをしたり…

新しい物語のデザイン「チャットノベル」

チャット小説やチャットノベルという言葉聞いたことありますか?? 毎日使うLINEの画面を想像してほしい。 スマホを用いて、チャット形式の画面で物語が進んでいく。 それがチャット小説だ。 タップやスクロールで次々に新しいチャットが表示されて、 友人や…

佐藤義典『ドリルを売るなら穴を売れ』の感想文

佐藤義典『ドリルを売るなら穴を売れ』 ドリルを買う人が欲しいのは果たしてドリルなのか。 答えは、NO もしかしたら、自宅に様々なドリルを並べて鑑賞するという世にも珍しい趣味の人もいるのかもしれない。 ただ、ドリル購入者の99%以上は、そのドリルで…

中村文則『教団X』の感想文

中村文則『教団X』 この小説の感想を語るのは非常に難しい作業になる。 読み手の評価も極端になりがちだ。 理由は3つある。 まず、「宗教」という難しい題材だから。 そして、性的な描写があまりにも過激だから。 最後に、あまりに思想的な語りの部分が多い…

キンコン西野「印税いらない!!」

「僕のビジネス書なんて、普段の僕の活動の副産物で、僕は普段の活動で食っていけるので、ビジネス書(副産物)の印税なんて1円も要りません」 キングコングの西野亮広さんの新しいビジネス書『新世界』が発売されました。 絵本『えんとつ町のプペル』、ビジ…